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13 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2011/01/16(日) 04 27 03 ID 1xyqUEOm0 [1/3] アニメ4話/小説2巻 友達が来た日の後日談風 「桐乃ー。今日ひまー?」 話しかけてきたのは、来栖加奈子。私の友達だ。 「うん。今日は部活もないし・・・一緒に帰ろっか?」 「あー。ちょっとつきあってほしい所あるんだよね〜?」 「あ、うん。どこいくの?」 「ん〜?駅前でナンパー。」 「ひっ・・・」 な、なんてこと言うのっ!?そんなこと、できるわけないじゃん! 「加奈子ってさー、ぶっちゃけカワイイけどさー、ロリ体型じゃん?桐乃がいたら男も釣れるし〜?」 「だっ、ダメっ!無理っ!」 「え〜〜〜?世の男共はよ〜、ちょっと乳がでてるだけでホイホイついてくしよー?桐乃がいれば、簡単だってー」 「そうじゃなくって!・・・あたし、その・・・ナンパしてくるような人と、話したりしたくないし・・・」 あたし、見ず知らずの人となんてお話したくないっ。もっと・・・そう。心に決めたような人がいいもん。まだいないけど・・・ 「うっそー?まじありえないし〜?何ソレ、純情乙女〜?」 「そ、そうじゃ・・・なくって・・・」 なんでっ!?あたしの心、読まれてるっ!? 「じゃあ?彼氏っ?やっぱり彼氏いたんだ〜?」 「いっ、いないっ!!いないってば!」 何!?なんでこんなに聞いてくるの!? 「うそ〜?反応激しすぎーあやしー?」 「そ、それより、あたし無理―――」 「やっぱ隠そうとしてる〜、ほんとは居るんでしょ〜?」 「だ、だからっ!違うって!」 「どもってる〜?絶対彼氏でしょ〜?」 話題も変えられないよっ・・・誰かっ・・・・・・助けてっ! 「ち、違うのっ!兄貴は彼氏なんかじゃないのっ!」 「・・・」 「・・・」 「い、今、なんて・・・?」 やばいっ!?なんとかしないとっ・・・! 「・・・・・・そ、そうっ、兄貴と買い物に行く約束があるって言ったのっ!」 「いや〜?確かに、兄貴はかr―――」 「加〜奈〜子〜?」 「げっ・・・あやせ・・・?」 「加奈子。あなた今日の掃除当番でしょ?」 「あ〜。忘れてた・・・みたいな?」 「はいはい。どうせまた逃げようとしたんでしょ?さっさとついてきなさいっ。それじゃね、桐乃。」 「あ、うん・・・ばいばい・・・。」 た、助かった〜。加奈子には悪いけど、あやせに感謝しなくちゃ。 ・・・でも、なんであたし・・・あの時兄貴の事、考えちゃったんだろう? ううん。確かに最近、あたしの事助けてくれたけど・・・ でもっ、相変わらずぐうたらで、やる気のない目をして、その上変態で、キモくて・・・ ほんと・・・なんでなんだろう・・・考えがまとまらない・・・ ・・・ 帰って兄パン、クンカクンカすれば、少しはおちつけるよね? 落ち着いたら、もうちょっと考えてみよう。 -------------
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31 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2011/01/10(月) 09 26 55 ID xPksItp90 [1/3] 「よく聞け、俺は変態だ」 「何を今更のことを言ってるの。寒さのせいで頭がおかしくなったのかしらセクハラ先輩」 最初に黒猫が俺の心をえぐる。 「京介氏が変態だってことは我ら3人も重々に存じておりまする!」 次に沙織が追い討ちをかける。 「キモ!いまさらカミングアウトしたってサプライズにはもう遅いわ。お父さんもお母さんも知ってるし」 最後に桐乃がとどめをさす。 「そこは否定してくれよ!」 なみだ目で否定を促す俺。 「俺が変態だってことは知っている。だけど、お前らはどうなんだ?」 「わ・・・私が変態だって・・・言いたいのかしら・・・?」 最初に黒猫が眉をヒクヒクさせる。 「いやぁ、拙者にとっては褒め言葉でござるぅ!」 次に沙織が嬉しそうに返事をする。 「へ・・・変・・・い・・・妹エロゲやってるあたしのどこが変態よ!」 最後に桐乃が一般人が聞けば首をかしげる返答をする。 「誰もお前らが変態だって言ってねーだろ!」 決め付けとみなされたことに対して否定する俺。 「お前らのことが好きだ!俺と結婚してくれ!」 「いいいいい、いきなり、なななななな、何を言い出すのかしら」 最初に黒猫が全身で動揺を見せる。 紅潮した顔はもちろん、今まで滑らかだった彼女の体の動きがまるで錆付いたロボットのようだ。 「うれしい限りでございまする~。是非、式は秋葉原で挙げましょうぞ!」 次に沙織があっけらかんとした返答を見せる。 しかし、暖房のせいか、沙織の顔が少し紅潮しているようにも見えた。 「キモ!キモ!キモ!い、一夫多妻制は日本の法律で禁止されてるのよ!わかってんの!?」 最後に桐乃が日本のしくみの一部を出して、全身全霊で否定をする。 つうか俺ら兄妹だろ。先にそれで否定しろよ。まあ、怒りでなかなか考えがまとまらないのはわかるがな。 「あ、あたしたち、兄妹じゃん!三親等内は結婚できないって前Weekpediaで調べたし!」 ようやく答えがまとまったか。で、何?三振Tonight?野球選手も大変だな。 「悪ィ。冗談だよ、冗談」 ちょっとやりすぎたか?と思い、『冗談』という利便性のある言葉で否定する俺。 「そ、そう。人をからかうのはこれっきりにしなさい」 最初に黒猫が―未だに錆付いたロボットのようであるが、―動揺を隠すように足を組み、 ハの字の眉をできるだけ山型に戻そうと試みている。 「そうでござるかぁ!残念です・・・でござる」 沙織が―顔こそ笑っているものの、―トーンを下げた口調で感情を押さえ込もうとしている。 その感情が何かは俺はわからんが、俺だってからかわれるのはごめんだからな! 「あ、当たり前でしょ!シスコン!変態!ロリコン!メ、メルル鑑賞会でもするわよ!」 辛らつな言葉を俺に投げかける桐乃。 つーか、それWiiリモコン。テレビ、DVDのチャンネルはあっちだ。 まったく・・・こいつらといると、どうも退屈しないな。 -------------
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347 名前:桐乃はずっと、お兄ちゃんを想っているSS[] 投稿日:2011/02/05(土) 19 27 55 ID hjPjUW/k0 [2/2] 「うぉっ!?」 気づけば、俺は謎の空間で謎の連中に囲まれていた。そいつらは下は中学生から上はおっさんまで、まるで 統一感の無いやつらだった。ただ共通している事はひとつ。全員、俺の事を睨みながら厳しい言葉を飛ばしていることだ。 「京介、いい加減気づいてやれよ!」「くんかたんが可哀想だ!」「お前が鈍感過ぎてもうこのスレ次で100だぞ!?」「いい加減語呂合わせもネタ切れだっつーの」 「こっちはもうずっとモヤモヤしてたまんねーんだよっ!」「さっさとぎゅっとしてやれよ」「簡単な仕事だ」 「な、なんなんだよお前たちは!?」 俺がそう叫んだ瞬間、連中の一人がヌッと顔を近づけてきた。急な接近に「うぉっ」と怯む俺に、そいつは低い声でこう言った。 「俺たちが言いたいのは一つだけさ・・・お前が桐乃を幸せにできないなら、きりりんは「俺達」の嫁だ」 「・・・・は?」 「いいから答えるんだ! お前は、桐乃を幸せに出来るのか・・・っ!?」 それまで各々好き勝手に罵声を飛ばしていた連中は皆黙り、ジッと俺の事を見つめている。その視線、直前の目の前の奴の台詞から、 こいつらが桐乃の事を想う気持ちが伝わってくる。それは、もしかすれば俺なんかよりもずっと・・・・・・いや。 それだけは、そこだけは認められない。 桐乃を一番に想ってるのは、一番大事に想ってるのは、俺に決まってんだろーが!! 「ったりめーだ。俺が大事な妹を不幸になんてするわけねーだろ!」 断言してやった。すると俺を囲んでいた連中の表情が皆和らいだ気がした。目の前の奴もフッ、と笑みを浮かべている。 「いい返事だ。なら、俺達はもうしばらく待つとするさ・・・・F5をポチっとな」 「は?」 「・・・変な夢すぎるだろ、おい」 ベッドで身を起こした俺はガシガシと頭を掻きながら、ふと視線を横へやった。すると、昨晩確かに落とした筈のノートパソコンが 起動しているのに気づいた。 「うん?」 目を凝らしてみれば、画面には見覚えの無い掲示板が。スレッドのタイトルを読もうとしたその瞬間、パソコンは まるで元から点いていなかったかのように画面が暗転してしまった。 けれど俺の目には確かに、全部は読めなかったけれど、そのスレのタイトルが映っていた。 『桐乃はずっ10、0兄ちゃんを――――』 -------------
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907 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2012/02/13(月) 19 03 48.50 ID /ryLjRWLP [3/6] 『兄枕』 眠い。ちょー眠たい。 やっぱり昨日調子に乗って夜更かししすぎちゃったよね・・・。 だって昨日は一時間ぐらいしか寝てないし。 あんな先の気になるエロゲは久しぶりだったもん。ついエンディングまでノンストップでやっちゃった。 おかげでこんなことになってるわけだケド。 学校でも居眠りしかけちゃって先生に注意されちゃうし。 普段の行いがいいから注意だけで済んだからよかったけどさ。 あやせにも心配かけちゃって、誤魔化すのに苦労したもん。―――もしかしたら気付いてるかもだケド。 学校からの帰りの道すがら、眠気でぼーっとする頭でそんなことを考える。 その足取りはとてもしっかりしてるとは言えない。 フラフラと体が揺れているのが自分でわかるほどだ。 「・・・・・・マジでやばいカモ」 部屋に戻る余裕、あるかなあ・・・・・・。 瞼が下りてくるのを必死でこらえて帰り道を急ぐ。 途中、赤信号で歩道を渡ろうとしたり、電柱にぶつかりそうになったりと 普段ではまずしないようなことを連発する。眠気って怖い。 「――やっとついた」 そんなこんなでようやく家に到着する。 家がこんなに遠く感じたのはいつ以来だろうか。 「ただいま~・・・」 ガチャリと戸を開けて、挨拶も程ほどにリビングに向かう。 もう階段を上がる気力もない。リビングのソファでちょっとだけ寝よう。 お母さんやお父さんに怒られるかもしれないけど、今日だけはそんなことはどうでもいい。 限度を超えた眠気はもはや頭を正常に働かせてはくれなかった。 とにかく早く横になりたい。 それだけが頭を占めていた。 「おう桐乃。おかえり」 だから聞こえてるはずのその声もまともに認識できない。 フラフラとした足取りのままソファに向かう。 「桐乃? お前大丈夫か?」 ああもううっさいなあ。あたしは眠いの。ほっといてよもう。 鞄を机の上に放り投げてソファに座る。そのままゆっくりと体を倒して横になった。 「ちょ、桐乃!?」 やっばいこれ。こんなのすぐに眠っちゃうって。 それに丁度イイ枕があったみたい。 ちょっと堅いケド、いい匂いがして、なんか安心する。 コレなら、よく・・・眠れ・・・・・・そう・・・・・・・・・。 「お~い、桐乃さん? ちょっと、お前このまま眠るつもりか? お~~~~い!」 どこか聞きなれた声を子守歌にして、あたしは眠りに落ちていった。 「お兄ちゃん!」 「ん? なんだよ桐乃」 あれ? あたし・・・・・・どうしたんだっけ? 確か家に帰って、ソファで横になって・・・・・・・。 「あのね」 「おう」 え? あれって・・・あたし? それにもう一人の男の子は・・・・・・京介? ・・・・・・ああ、そっか。コレは夢だ。 凄く懐かしい、まだあたし達が、あたしと京介が仲がよかった小さいころの夢だ。 「ひざまくらして?」 「はあ?」 それにしてもあたしってば可愛すぎ! こんな子がいるならあたしが妹にしたいぐらいだっての! 「何でそんなことしなくちゃいけないんだよ?」 「だめ?」 「だめっていうか・・・・・・」 京介のスカタン! こんなかわゆい妹のお願い聞かないとかバカじゃないの? 「あのね、きのうおかあさんがひざまくらしてくれたの」 「・・・・・・」 「それでね、それがすっごくきもちよくて、あったかくて・・・・・・」 そうそう。たしかお母さんの膝枕で寝ちゃったんだよね。 それでたしかあたしは・・・・・・ 「だからお兄ちゃんにもしてほしいなって思ったの」 「だからのつながりがおかしくないか!?」 うん、なんか見ててちょー恥ずかしくなってきた。 子供ならではの支離滅裂さって言うか、つながりが見えにくい会話よね。 「あ~・・・・・・どうしてもしてほしいのか?」 「うん」 「むむむ・・・・・・し、しかたないな。こんかいだけだからな?」 「うん!」 「それじゃ・・・ほら。気持ちよくなくてもおこるなよ?」 「えへへ」 座って自分の膝をポンと叩く京介の膝に嬉しそうに頭を乗せるあたし。 あ~もう、あんなに幸せそうにしちゃって。 見てるこっちが照れちゃうじゃん。 「・・・どうだ?」 「・・・かたい。おかあさんみたいにやわらかくない」 あ、京介傷ついたって顔してる。 「・・・わるかったな。やわらかくなくて」 「でもね、おにいちゃんはすっごくイイにおいする。 あたしね、このにおい好きだな」 「そうなのか?」 自分の顔が赤くなるのがわかった。 ちっちゃい自分が京介のことくんくんしてるのがわかってしまったからだ。 べ、別にあたしは京介の匂いなんて好きなんかじゃ・・・・・・・・・・・・ないかんね! 「うん。おにいちゃんのにおいは、すごくほわってなるの」 「ほわ?」 「うん・・・・・・それがね、すごく、きもちよくて・・・・・・」 「桐乃?」 そうだ。たしかこの後あたしは・・・・・・ 「すー、すー・・・・・・」 「桐乃? ねちゃったのか。・・・・・・これじゃ俺うごけないじゃん」 あはは。あたしが寝ちゃって京介ってば動けないでやんの。 妹を起こさないために動かないとかこの頃からもうシスコンすぎっしょ。 でも懐かしいな。こんなこともあったね。 安心しきった顔をして寝てるその顔を見てると、つられてこっちも眠くなってきた気がする。 あたしもちょっとだけ、寝ようかな・・・・・・あ、でも夢の中で、寝るって・・・・・・ そのあと・・・どう、なっちゃうんだろう・・・・・・ 「ん・・・・・・」 「あら。桐乃、おはよう」 「おふぁようおかあさん・・・」 ぼやっとした視界の中にお母さんが見えた。 なんだか楽しそうに、自分の膝に頬杖をつきながらあたしをニコニコと見つめてる。 ああ、そういえばあたし帰って来てすぐに寝ちゃったんだっけ。リビングのソファで。 なんだか懐かしい夢を見てた気がするけど、よく思い出せない。 「よく眠れた?」 「え? う、うん」 今何時だろうか。 お母さんが帰って来てるってことはもう夕方かな。 横になったまま見える範囲には時計がなくて正確な時間が分からない。 夕飯だからあたしを起こした、っていうわけでもなさそうだ。 帰ってきた時間を考えればそれほど長い時間寝てたわけじゃないみたいだケド。 「それより桐乃」 「なに? お母さん」 「まだ眠たい? 夕飯までは時間があるからもう少し寝ててもいいわよ?」 「そんなことないケド・・・」 眠くはない。むしろ一晩眠ったんじゃないかってぐらいにスッキリしてるぐらいだ。 だけどこの枕が気持ちよくて起きる気にならない。 いい匂いもするし、もう少しだけこうしてたいカモ。 「お母さんとしては全然構わないんだけどね? でもそのままじゃ京介が困るんじゃないかしら?」 「え?」 お母さんの顔がニコニコとしたものからニタニタとした意地の悪い顔に変わる。 どうしてそこで京介が出てくるんだろう。しかも何その顔。 なんとなく居たたまれなくなって、視線を外そうとゴロっと寝返りをうって天井を見上げた時、京介と目が合った。 ああ、京介もいたんだ・・・・・・――――――――へ? 「よ、よう」 「な、な、な・・・・・・」 な、何で京介が!? そりゃここはリビングだから京介がいること自体おかしいことじゃないんだケド! でも、でも、ええとええと・・・・・・とにかく何で!? 「よかったわねえ京介。桐乃、アンタの膝枕でよく眠れたんですって」 「あんまりからかわないでくれよ・・・・・・」 ぽりぽりと頬を指先で掻きながら居心地悪そうに顔をしかめる京介。 そっかぁ膝枕かぁ。だから京介の顔がこんなに近い場所に・・・・・・ってひざまくらぁ!? 「うお!?」 「あら」 がばっ! と体を起こした。 改めてさっきまであたしが寝ていたところを見てみれば、そこには京介が座っている。 え、うそ、マジ? あたし京介の膝枕で寝てて、しかもそれをいい匂いとか・・・・・・!? 「な、なんで起こしてくれなかったわけ!?」 「いや、なんかスゲー気持ちよさそうに寝てるし、起こすのも悪いかなあと」 「うぐ・・・・・・」 ぐぬぬぬぬ・・・・・・実際寝ていた手前京介ばかりを悪くいうことも出来ない。 そもそも京介は何も悪くないんだから責めることがお門違いなわけなんだケド。 「ううう・・・・・・」 「き、桐乃?」 「桐乃?」 「京介の・・・・・・」 「え?」 「ばかぁ!!」 どうしようもなくなったあたしはそう叫んで部屋へと駆け込んだ。 その後、落ち着いたあたしは夕食の前に京介の部屋に行き、さっきのことを謝ったのだった。 そしてその日の深夜。あたしは京介の部屋の前にいた。 何故かといえば、とあることを検証するためだ。 京介の膝枕で眠った夕方。 部屋に戻ってから改めてわかったけど、想像以上に体が軽かった。 それはつまり、あの短時間で疲れが一気落ちていたということだ。 コレはあたしにとって非常に重要なことだ。 もしコレがあたしの勘違いじゃなければ、あたしにとって革命的な事実であるといえる。 何しろ短い時間眠るだけでいいのだから、その分を他にまわせるということだ。 それは勉強だったりエロゲだったりエロゲだったり。 そう、理由はそれだけであって、別にあたしが京介と一緒に眠りたいとか、 なんとかしてその理由をこじつけたいとかということはまったくない。・・・・・・・・・・・・本当だかんね? まあ説明はコレぐらいでいいよね。 とりあえず、京介のベッドじゃあたしの枕を置くスペースなんてないだろうし、しかたないから アイツの腕枕で我慢してやろう。 ベッドが狭くて密着しなくちゃいけないだろうケド、コレはあたしにとってのエロゲライフ、 ひいてはこれからの生活に関わることだからそれぐらいはしかたないよね。 湯たんぽだと思ってればそれほど問題ないし。うん。 そんな感じに誰に対するいい訳かわからないものを色々と考えながら、あたしは扉のノブをひねった。 「桐乃ぉ。最近調子よさそうじゃん。なんかあった?」 「え、別に? そんなことないよ」 「ホントに? ここのところの桐乃、以前にも増して調子よさそうだよ?」 「そうかな? だとしたら枕を変えたおかげかな?」 よく眠れてるもんね。 朝早くに抜け出さなきゃいけないのがちょっと面倒だケド。 「枕変えたの?」 「うん」 「へ~。どんな枕? 私にも教えてくれない?」 「秘密。コレばっかりはあやせにも教えられないかな」 「ケチケチすんなよ~」 「ダーメ! でも、最近は忍び込むのが面倒になってきたんだよね・・・」 京介もここのところ勉強で遅くまで起きててタイミングが掴みづらいし・・・・・・ こうなったらもう―――。 「忍び込む? なんのこと?」 「な、なんでもないよ! こっちの話! それよりもこれからどうする?」 「ちょっと気になるけど、まあいっか。そうだね、それだったら久しぶりに――――」 「ただいま」 「おう、お帰り桐乃」 「あ、アンタいたんだ」 丁度いいや。この際ここで言っちゃおうかな。 お母さんもいないみたいだし、言うなら早いほうがいいしね。 「・・・・・・いちゃ悪いかよ」 「別に悪いなんて言ってないでしょ。それぐらいで拗ねないでよ」 「拗ねてねえよ」 「はいはい」 そんな顔して言っても説得力なんてないっての! 「ねえ」 「んだよ」 「ちょっとさ、お願いがあるんだケド」 「あん?」 「京介、あたしの枕になってくんない?」 オリジナルサイズ
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835 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2011/04/19(火) 01 15 31.08 ID 4JJpNy+v0 834 むしろ、どれが京介の反応がいいか試しているのかもしれんなw さて、788ですが、 794さんをネタに、また書いてみました。 一応、次のスレ番が38なので、それもかけて書いてみました。 ------------------------------------------------------------------------------------------ 題名 「運命の誓い」 今日は桐乃と料理することになった。 珍しい。というか、初めてだ。 おやじとおふくろは、めずらしく1泊2日の旅行に行くことになって、週末は桐乃と二人きりとなったわけだ。 ・・・本当は、麻奈美の家やら外で飯を食べるのもよかったが、 「べつにー、あんたは外でご飯食べてもいいけどー?そのかわり、あんたの性癖を英語でばらすから。 busty girlとかbig boobsとか」 と俺のプライドと世間体とを引き換えに交渉しやがったから、家で料理をすることを喜んで選択しましたよ。 ちくしょー!あの時の俺、キャッシュの消し方やら検索履歴の設定くらいは覚えておけよ! 「お前から料理するって言うのは珍しいな・・・」 料理と言ってもカレーだけどな。 「はぁ?いつ、あたしが料理したくないなんて言ったの?勘違い乙」 「い、いや、けどな、お前、ほとんど部活とかモデルの仕事とかで料理したことねーだろ」 「はぁ?あんたが見えないところで練習してるかもしれないじゃん。そういう思い込み、うざっ」 「俺が見る限りお前が料理しているところを見かけた覚えはない。断言する!」 「だ、断言するって!なに、あ、あんた、あたしのことずっと観察してるわけ!?きもっ、きもっ、マジきもっ!」 「観察じゃねーよ。わざわざ観察しなくても、お前が料理をする時間がとれないのは明らかだろう。」 「はんっ!ば、馬鹿にしたね、あんた。カレーくらい簡単に作ってみせるんだから、みてなさいよ!」 「って言ったそばから包丁振り回すんじゃねー!?」 「うっさい!あんたは黙ってあたしが料理している様を見てればいいのよ!」 ・・・・・・・ ・・・・・ ・・・ ――案の定、目の前には、塩酸で溶かされた固形物みたいな、ドロドロしたおぞましい料理が出てきた。 「はあああ。ったく、できないならできねーって素直に言えばいいだろー。」 「・・・・・だって、あんたが、馬鹿にするから・・・」 「あー、うん、それは、すまんかった。」 「・・・・・・・いいけど、これ、どうしよ」 「・・・よし、ここからリカバリーしようぜ。まず包丁持てよ。」 「う、うん」 桐乃の右手に包丁を持たせ、俺が桐乃の右側に立ち、包丁の扱い方からレクチャーする。 「まずは持ち方こうだ。それで、こうやって野菜を切るんだ」 「う、うん」 ぎこちなく野菜を切る。 ザクッ・・・・ザクッ・・・・ザクッ・・・ 「おう。その調子だ。」 「そ、そぉ?ま、この程度、あたしだったらすぐマスターできるけどねー。」 「って言ってるそばから危ねーよ、バカ!」 ―しばらく野菜を切る練習をした後、だいぶコツが分かってきたのか、材料を切る速度が早くなってきた。 「おー、いい調子だー。」 「あ、あたりまえじゃん。あたしの実力、やっとわかった?」 「へーへー。しかし、お前、料理までできちまったら、もう完璧超人で嫁いでも恥ずかしく無いだろうな」 うひひっと笑いながら、からかい半分でつい桐乃をかまってみると、 「へ? よ、嫁? 嫁ぐ? あ、あたしが誰に・・・って、いたっ!」 「お、おい、大丈夫か!すまん!」 桐乃の左手小指から、血が流れているのが分かった。 「う、うん。小指少し切っちゃったけど」 「待ってろ、ちょっと消毒液持ってくるからな!」 ドタドタドタ―― 「おい、ほら傷口見せてみ」 おずおずと左手を出す桐乃。 「・・・ねぇ」 「おい、動くなって」 「・・・やだ」 「あ?やだって、おい」 桐乃は、血が流れている小指で俺の手の甲をなぞった。 「な、なにしやがる!」 それでも桐乃は血の文字を描き続ける。 「ねぇ、あたしたちってさ、血繋がってるじゃん。」 「は、はぁ?んなもん、当然だろ。」 そんなこと、いちいち確認して何があるって言うんだ。 「この血は間違いなく私の血だけど、あたしってパパとママから生まれたんだよね。だから、この血は、 あたしだけの血じゃなくて、パパとママの血でもあるよね。」 「あ、あぁ。」 肯定するだけで精一杯だ。 「あんたもさ、パパとママの子だし、そして、あたしの兄なわけじゃん。 だからあんたに流れている血は、あたしの血でもあるって思わない?」 丁寧に、ゆっくり、一つ一つ言葉をつむぐ桐乃。 「なんかさ、まるで赤い糸みたいじゃん。見えないところで繋がってるって感じで。」 「・・・・」 「あたしの、これぐらいの思い込みぐらい、許されてもいいよね?」 「違うぞ、桐乃」 「え・・・?」 「見えなくねーよ。ほら、ちゃんと繋がってるだろ」 「・・・あ」 俺は、ギューッと桐乃を抱きしめる 桐乃は最初目を丸くして驚いたが、次第に子猫が安心して眠りにつくように、幸せそうに目を細めながら京介に身をゆだねる 「俺は、とんでもないシスコンだ」 「・・・うん、知ってる・・・」 「お前が思っている以上にだぞ。」 「・・・・そう、なんだ。」 嬉しそうに、頬を赤らめながら。 「俺の38(身は)、お前を守るために生まれてきたのかもな。それも前世から運命づけられていてな」 「・・・・・うん。絶対そうだって・・・そうじゃなきゃわたし・・・嫌だもん。 あんたが、あんただけいれば、私はずっと、側にいてあげるんだから・・・」 「・・・だったら俺は、側にいてあげられるぜ」 結局、夕飯は白米だけになった。
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6 名前:【SS】麻奈実と対決編[sage] 投稿日:2011/09/12(月) 15 05 49.37 ID 76Sg8zpM0 148に触発されて作ってみました… 素人なもので読みづらいのはご容赦をば… 「あたしは京介とずっと一緒にいたいの!」 「そんなの現実的に無理ってわからないかなぁ・・・いつまで子供みたいなこと言ってるのかな?」 麻奈実さんの目がまっすぐあたしを見据えてくる。 揺るがないその視線を受けたあたしは耐えられなくなり目を逸らす。 そんなの分かってる…あたしと京介は兄妹なんだって事…その事実はどうあがいても変わらない。 「それでも!あたしにとって京介は単なる兄貴じゃ…な…い」 言い返そうとするあたしを麻奈実さんは静かに見つめている。 それだけなのに強い威圧感を感じて言葉が弱くなってしまう…分かってるけど悔しいよ。 「きょうちゃんはずっと桐乃ちゃんの為に色炉頑張ってくれたよね。でもそれは兄妹だからなんだよ?」 「家族が家族の為に頑張るのは当たり前。でも、それを簡単に恋愛に結びつけちゃうのはダメだなぁ」 「きょうちゃんは桐乃ちゃんが弟だったとしても、きっと同じだったと思うよ」 麻奈実さんはごく当たり前のことを当たり前にいつもの口調で言ってくる。 ウザ…分かり切った事いうなっての…! でもその言葉は単なる強がりでしかない。目の前にいる人を納得させる言葉が浮かんでこない。 他の事なら何でもできるのにな…でもそれは目標が目に見えているから出来て当たり前なんだ。 ふとそんな事を考えると、あたしって本当はこんなに弱いのかと今更ながら思った。 「あたしには京介しかいない。今までずっとあいつの事しか見てなかったんだから」 …あたしはもう麻奈実さんを納得させるのを止めた。 あれこれ考えてもどうにもならないし、素直な気持ちを話すしかないよね。 「あたしじゃあんたにはなれない。でもあたしが京介が好きである事実は絶対に変わらない」 「そして今のあたしに成れたのは間違いなく京介のおかげ。まぁ…あんたのおかげでもあるけどさ」 「でもあたしが今でも頑張っていられるのは京介がいたから!あいつがいたから…」 言ってるそばから涙が出てきた…あたしダメすぎじゃん…。 「京介は超シスコンなんだから!あたしらの間に入ってくんなっ!!」 もう自分で何言ってるか分からなくなってきた。 自分の悔しい気持ちは分かってる。何を言っても麻奈実さんには通じないし勝てない。 それでも京介が自分以外の所に行くのは許せない…。 …違う、許せないんじゃない。すごく怖いんだ…。 何を言っても何をしてもあたしの為にいつも傍にいてくれた京介。 そしてある事件を境に京介も普通の人間だと思い知ったあの時。 普通の人間だけどいつも必死にあたしの為に頑張ってくれた京介。 京介だけが本当のあたしを知っていて、それでも傍にいてくれる。 その京介がいなくなっちゃうなんて…絶対に考える事が出来ない。 京介がいなくなったあたし…それはあたし?桐乃?一体なんだろう…? 馬鹿みたいに泣きながら立ちつくすあたしを、麻奈実さんは何も言わずに見ている。 その表情は全く変わってない。相変わらず憎らしいくらい緩い顔つきのままあたしを見てる。 …とふと麻奈実さんの表情が崩れてゆるーくニッコリ笑う。 はぁ?何笑ってんのこいつ。もうあたしは相手にすらならないっての? 「…だってさ~きょうちゃん?」 「へ…?」 間抜けな声を出すあたしをよそに、後ろから頬を掻きつつ現れたやつがいた。 その顔はすごく真っ赤だ…そしてそれを見るあたしの顔もきっと…。 「き、京介!?あんたまさかずっと見てたの??」 「ま、まーな。つか桐乃…」 あたしの問いかけに真っ赤な顔のまま言いよどむ京介。 くぅ…今更ながら超ハズカシイ気持ちが湧いてきた。 「なぁ…桐乃」 「何このシスコン!なんかあたしに言いたいワケ?つーか妹の本音盗み聞きすんな変態!」 京介が何か言おうとしてるけどあたしはそれどころじゃなくなってた。 だめだ…もう何も考えられないしまともに話せる訳ないじゃん! 「いいから聞けよ!でないと思いっきり抱きしめるぞ!」 「な…あんた白昼堂々とセクハラ宣言!?つか…なによ」 今のあたしはパニくってまともに話せる状態じゃないし、抱きしめられたら恥ずかしすぎて死ぬっつーの…。 仕方なく京介の言葉を促す。 「俺さ…ずっと今まで引っかかってたんだよな。なんで桐乃に対してだけ心の奥がモヤモヤするのか」 「今の桐乃の言葉をずっと聞いてきてよくやく理解できたよ。てか遅すぎだって話だけどな」 京介は少し苦笑して、だけど今まで見たことがないくらい真面目な顔であたしを見つめてくる。 あたしは恥ずかしさで目を逸らそうと…あれ?なんでできないんだろう。 …そしてそのまま京介の言葉を待つ。 「はっきり言うよ。俺も…桐乃が好きだ」 その言葉を聞いた瞬間、あたしの視界がぐらついた…。 「もうびっくりしたよ~。桐乃ちゃんいきなり倒れるんだもん」 「俺もだぜ全く…でもありがとうな麻奈実」 「えへへ~…桐乃ちゃんもきょうちゃんも素直になってくれないからね」 …どうやらあたしはあの後で気を失ってたらしい。 ぼーっとした頭に2人のやりとりが流れてくる。 どうやら今回の件は麻奈実さんが仕組んだらしいってのは分かった。 でもなんで…?麻奈実さんも京介が好きなんじゃなかったの? 「きょうちゃんはね、本当の気持ちに気付いてて、それでも気づいてないフリしてたんだよ」 「なんでかって…それはきょうちゃんも分かってることだよね?」 「兄妹だから、兄妹以上にはなれない…兄として当然の態度だったんだし間違いじゃなかったと思う」 …少し頭がはっきりしてきたあたしは目をうっすらと開けてみる。 あたしは京介に抱きしめられていた…うは…あたしやばいや… でも京介はあたしが見てることに気づかず麻奈実さんの言葉を待っている。 「それでも…きょうちゃんが一緒にいるべきなのは桐乃ちゃんなんだよ」 麻奈実さんは少しだけ寂しそうな表情をみせてそう続けた。 「ああ…分かってる。つーか良い兄貴像なんてもののお陰で遠回りしすぎちまったな」 「麻奈実マジでゴメン…だけど本当にありがとうな」 「えへへ、どういたしまして。でもようやく真っすぐ向き合えたね~?」 寂しそうな顔を見せてた麻奈実さんだったけど、その言葉を境にいつものゆるーい顔に戻った。 ああ…やっぱこの人には敵わないや…。 でもこの人がいてくれたお陰であたし達は本当の、本当の気持ちをお互い知ることができた。 「ハズカシイっつーの…そろそろ離してよシスコン」 「気づいたか…てかうるせぇ。離さねーよバカ」 今までのあたしなら蹴り倒してただろうか…でもこれからはもう必要ない…よね。 お互いに真っ赤な顔のまま抱き合ってる兄妹をみて麻奈実さんが笑う。 「でもこれからたいへんだね~2人とも」 そうだ、これからもっともっと大変なことになるんだよね…。 うちの両親、あやせに黒いのに沙織に…って考えるほど頭が痛くなってくる。 それでもあたしはダメだなんてこれっぽっちも思えなかった。 「まぁ今までなんとかなったし、なんとかなるさ!」 根拠のない自信を言い放つ京介。でもあんたと一緒ならきっと大丈夫だよね…! ふと空を見上げると、雲一つない青空が広がっていた。 …その空を見上げるあたしと京介の表情はすごく満ち足りていた。 -------------
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305 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2012/12/25(火) 12 18 36.68 ID E10qdBECP 297 乙です こういうトラブルに見舞われるのはもはやこの二人はデフォですなあ その分感動も大きいんですケドね! 最近自分のSSが雰囲気頼りになってしまってるなあ コメディっぽいのものってどう書けばいいかわからん 308 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2012/12/25(火) 14 10 36.24 ID alSlzGaE0 305 何かを参考にするのも良いかもしれません 言葉だけで物語が出来上がる落語とか、あるいはイギリス産コメディ映画とか 例:古典文学にキャラを当てはめて、少し改変するだけでもだいぶカオスな物が出来上がります 妹取物語:113スレ目338 単純なものでは、キャラの空回りする様子を描く、なんてのも有ります 桐乃を空回りさせるのは色々と難しいですが、他キャラを空回りさせるのも一興です 例:あやせたんが桐乃と結婚しようと必死の工作→何故か京介と桐乃が結婚 二つの想い:35スレ目112 他の単純なものとして、原作のコメディ部分をパク・・・インスパイヤするなど 例:エロゲトラップをパク・・・オマージュ トラップMk2:31スレ目778 ※オリキャラ有り スレ内で出来上がったネタを使う:加奈子埋め、スナイパーあやせ、くんかたん エロっぽく見せておいて、まるで違うことをしていた:アイスおしゃぶり音とか 出てくるだけでネタにしかならない人を使う:フェイ倒産 等々・・・色々手段はありますので、是非挑戦を!
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855 :名無しさん@お腹いっぱい。:2016/07/26(火) 00 23 55.78 ID vChfHUzW0 SS『等身大』※京・桐・あ・加 「そうだ、加奈子、あやせ、そんなら俺の家に来るか?」 そう、お兄さんに言われてまんまとお兄さんの家に行くことになってしまったのは、高校最後の夏休みでした。 大学進学にあたって、わたしは、地元から離れた大学を受験しようと考えていたのです。 わたしにとって、親元を離れての初めての生活。 そんな生活に少しの不安を抱くのも仕方ないじゃないですか。 「あやせがぁ、一人暮らしねぇー・・・つーか、あの過保護な親がよく許したよなぁー?」 「ええ。母はまだ反対していますけど、父は、一度社会を見ておくことも大事だって」 「いいなぁー。一人暮らしとか憧れるんですけどぉー。加奈子もぉ、してみたいんですケドぉ」 「加奈子・・・。一人でちゃんと生活できるの?」 「はあ!?加奈子だって、料理や洗濯くらい出来るようになったっつーの!」 冗談で言ったんですから、キレなくても良いでしょうに。 「まあ、俺だって、色々出来るようになったくらいだしなあ」 ある意味似た者同士ですね、あなた達。 そんな話をしているうちに、ほどなく目的地に到着しました。 「―――着いたぜ。ここが俺の家」 少し古ぼけた外壁に、カバーの変色した蛍光灯、ここだけは物々しささえ感じるエントランスの防犯設備。 現在のお兄さんの自宅は、ここまで歩いてくる間にもいくつも見たような、5階建てのマンションでした。 飾りっけの一つも無く、とても貧相なマンションですけれども、普通の大学生の住居はこんな感じなのでしょうか? いえ、桐乃から聞いた話だと2部屋あるそうなので、これでも並の大学生よりは良い住居なのでしょうね。 暗証番号を入力して、階段で3階へ。 階段を登って右手に3つ目の部屋がお兄さんの部屋でした。 「・・・・・・なー、あやせ。ちょっとヘボくね?」 「・・・ちょっとだけ、ちょっとだけ、ね」 加奈子はお姉さんと、もっとちゃんとした綺麗なマンションに住んでいますし、 沙織さんのマンションも、豪華というほどではないですけど、十分に綺麗でしたし、 私の自宅も・・・その・・・近所の人からは豪邸なんて言われているみたいですし・・・ 「―――さ、入って、入って」 入りました。 視界の真ん中に、等身大のお人形さん(可能な限り温和な表現にしたつもりです)が飾られてました。 「なんじゃこりゃあああああああああああああああああああああ!?」 「・・・なんですかコレは・・・」 玄関で度肝を抜かれ絶叫する加奈子。 そんなわたし達を尻目に、お兄さんはきょとんと首をかしげ、 「桐乃・・・かな?」 「んなものは見りゃわかんだろーがよぉ!?」 げしっ。無言で脇腹に痛めの蹴りを入れるわたし。 「お兄さん・・・コレは、なんですか・・・」 実の妹と結婚してしまう変態鬼畜お兄様に対しては愚問かもしれませんが聞いてみますと、お兄さんは脇腹を押さえてのたうちながら、 「い、いや、だって可愛いだろ?俺はただ、この造形と質感と触感が素晴らしいなあと思って、○リエント工業に注文しただけなんだけど。 ・・・・・・そっ、それに、桐乃が居なくても寂しくないしね?」 「・・・・・・・・・」 ウソか本当か判断に困ります。えっちな目的以外でこのお人形さんを買う人間が果たして存在するのか否か。 お兄さんが『普通の』お兄さんでないことが、お兄さんの主張の説得力を大きく上げています。 「あやせってば何黙ってんだよぉ!こんなすっとぼけた言い訳がとおるわきゃねーだろぉ?こいつゼッタイ使ってるって!」 「わたしだって、普通ならそう考えます。でも、この変態鬼畜お兄さんは、実の妹じゃないと愛せない変態なんですよ!」 「まぁそーだわなー。コレも桐乃だもんなぁ」 「勝手に自分で納得しないでください!というかコレと桐乃を一緒にしないで下さい!!」 わたしは件のお人形さんをビシリと指差します。 「そうだな、ドールは本物の足元にも及ばないからな」 「お兄さんは黙っていて下さい!!!」 わたしの親友とお人形さんを比較するなんて、なんて非常識な人達なんでしょう! 「はは、さて―――玄関でいきなり素敵なリアクションを貰っちゃったけど、お客さんをいつまでも立たせておくわけにはいかないからな。上がれよ」 「「・・・・・・・・・」」 わたしは加奈子と顔を見合わせ、アイコンタクトを試みました。 (おい、どうするよぉあやせ・・・?次、何が飛び出すか分かったモンじゃねーよぉ) (さすがに招待までしてもらって、『さようなら』というわけにも行かないでしょう?) (・・・おめー、昔に比べてずいぶんと神経ふとくなったよな?) だいたいこんな感じです。 「「お、お邪魔します」」 おずおずと上がらせてもらうわたしと加奈子。 玄関はそのままキッチンになっており、意外にも綺麗に整理されて(しかも日常的に使ってる様子すら)見えました。 その先には扉が3つ。手前の一つはユニットバスでしょうから、残りがお兄さんの勉強部屋と寝室でしょうか? お兄さんは奥側左の扉を開き、わたし達に笑いかけました。 「こっちだ、どうぞ」 「・・・・・・・・・・・・」 「・・・・・・・・・・・・」 率直な感想を漏らすわたし達。 通された先は寝室(?)でした。 問題は・・・ ・・・ ・・・ いえ、先送りにするのは止めましょう。 問題は・・・その・・・まず目に飛び込むのは、部屋一面に貼られた・・・その・・・比喩的に言えば、ピンク色のポスター。 壁面には、縦長のガラスショーケース。もちろん中には、その・・・あられもない姿をした女の子のお人形。 部屋中に配置されたカラーボックスには、多分、全部えっちなゲームの箱・・・ 「おい、きょーすけ」 「どうした、加奈子」 「んな『ある意味』スゲェ部屋が一人暮らしの参考になるかっての!」 キモすぎます。一般の大学生の住める部屋じゃありません。 「そうか?家賃だって都心近くにしちゃ安いほうだぞ?」 「そこが問題じゃねーんだよぉ!!!・・・ちなみに、いくら?」 「ここの家賃?えーと、確か・・・全部入れて5万2千円だったかな?」 仕事の収入を考えれば、仕送りがなくても何とかなる家賃ですね。 「むぅ・・・加奈子の給料でもなんとかなるかなぁ?」 加奈子の収入なら、ここの5倍高くても大丈夫ですよ。 まあ、加奈子にはナイショで9割までは貯金させてますけどね。 「まーせっかくだしぃ、見ていこーぜ、あやせ。他にもヘンなモンあるかもしれねーしぃ」 前向きですね。加奈子は部屋を見渡して、 「へー、きょーすけベッド派なんだ」 好奇心旺盛にベッド(もちろん、ピンクの髪の女の子がプリントされています)に近づくと―――金髪の女性が寝転んでいました。 「うへぇ」 「・・・・・・・・・・・・」 驚いて声を上げる加奈子。 さっきの位置からでも見える位置でしたけど、あまりの部屋の様子に、その女性に気が付かなかったのです。 「おにーちゃん?おはよぉ」 気だるそうな声。 「えっと・・・・・・・・・」 言葉に詰まったわたし達に代わり、お兄さんが寄ってきて、こう言いました。 「ああ、桐乃。昨日は疲れたろ?もうちょっと寝てても良かったんだぞ」 金髪の女性・・・お兄さんの実の妹・・・わたしの親友、桐乃です・・・ 「おなかすいたぁ。あーんして」 「よしわかった!すぐ作ってくるからな!待ってろ!」 というか、何ですか、このお兄さんに甘えきっている妹は!? 「てゆーかー、そこに誰かいr・・・・・・・・・・あやせ!?」 「・・・・・・・・・」 わたしと加奈子の姿を認め、慌てる桐乃。 ああ、こういうときは、決まって・・・・・・・・・ 「ち、ちがうの!昨日は京介が激しすぎて、ちょっと疲れただけなの!あーんしてとか時々しか言わないし! っていうかいつもはあたしがあーんしてあげてるっていうか、お料理も二人の共同作業だし、ときどき京介が我慢できなくなって食べられない日もあるし、 そっ、そもそもときどきは家にちゃんと帰ってるし!洗濯物だって一日一枚しか盗んでないし!お風呂も一緒だし!!!」 桐乃は、なおも何かわめき続けていますけど、わたしのするべきことは決まっています。 『うへぇ』以外の言葉を忘れてしまった加奈子を地面に埋め、お兄さんに向かって、(やや引きつった)満面の笑みで、こう、言うのです。 「お兄さん、ブチ殺しますよ♪」 End. ----------
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812 名前:【SS】だっこ[sage] 投稿日:2011/08/21(日) 00 57 30.34 ID foFswZqh0 【SS】「だっこ」 あ~あ……、なんか桐乃と顔を合わせづれーな……。 図書館からの帰り道、そんなことを考えながら家へと向かう。 詳細は省かせてもらうが、俺はこの間、あろうことか桐乃を“お姫様だっこ”してしまったのだ。 あれを、お姫様だっこと呼べるものかどうかは別にして、 あの一件で桐乃を怒らせてしまい、それ以来まともに会話をしていない。 もちろん、食事は一緒にするし、いつもと変わらないのだが、未だ二人きりになってはいなかった。 ところが、今日親父とお袋が不在のため、家には俺と桐乃の二人だけとなる。 ……あいつ、部屋に引きこもっててくんねーかな……。 「……ただいま。」 帰宅を告げる俺の声に反応はない。 まぁ、いつものことだがな。 うだうだ考えたって仕方ねぇ。あいつだって俺と顔を合わせるのは嫌だろう。きっと部屋に引きこもってるさ。 それにしても、暑いな……。麦茶で喉を潤してから二階へ上がるとしよう。 台所へ向かおうとリビングのドアを開けると、ひんやりとした空気が俺を包み込む。 お、エアコンついてるのか?……ということは―――桐乃がソファーで雑誌を読んでいた……。 ……俺はバカか?そのままリビングを素通りして部屋に向かえば良かったではないか。 桐乃がいるかもしれないくらい、想定の範囲内だったはずだ。 そんな可能性も頭から消えてしまう位、今日は暑かったんだな……たぶん。 ドアを開けてしまった以上、そのまま閉めるのも不自然なので、とりあえず麦茶を飲みに行くことにする。 何事も起きなければ良し。もし桐乃の逆鱗に触れてしまっても、その仕打ちを甘んじて受けてやるさ。 俺は、覚悟を決め、桐乃と目が合わないよう冷静さを保ちつつ冷蔵庫へと向かった。 ソファーに座っている桐乃には目もくれず、台所一点に気持ちを集中させ、麦茶を目指す。 危なげなく桐乃の横をすり抜け、冷蔵庫に辿り着いた。が、まだ油断は出来ない。 冷蔵庫をそっと開け、中から麦茶のパックを、食器棚からグラスを取り出す。よーし、いい感じだ。 後は麦茶を注いで飲み干すだけだ。早く麦茶にありつきたいぜ。 ゆっくりとグラスに麦茶を注いでいく。なみなみと注いだその時―――。 「……ねぇ。」 桐乃に声を掛けられた……。ですよねー。あんなことがあったのに桐乃が何も言ってこないわけがなかった。 ……しょうがねぇ。とりあえず話を聞いてやるか。 「ん?なんだ?」 「こないだのアレ。一体どう責任取ってくれるつもり?」 「こないだのアレ?」 用件は大体察しはついているが、少しとぼけてみる。 「……何とぼけちゃってるワケ?あたしを……お、お姫様だっこしたでしょ!?」 ……もう逃げられそうにないな。さっさと謝って楽になるとするか。 「あの時はすまなかった!勘違いとはいえ、みんなの前であんなことをしてしまって。もう二度としないから、どうか許してくれ!」 俺は伝家の宝刀“土下座”をしようとしたのだが……、 「はぁ!?話は最後まで聞きなさいよね!……アレ……もっかいしてよ。」 「……アレ?……とは?」 「だ~か~ら!お、お姫様だっこ……、もう一回してって言ってんの!」 は?なに言ってんのこいつ? 「お、おまえ、あの時あんなに嫌がってたじゃねーか!」 「あの時はみんなも見てたし?いきなりだったし?……ちょ、ちょっと恥ずかしかったってゆーか……。」 「だ、だからって、な、なんでもう一回するって話になるんだよ?」 「あんたね、女の子にとってお姫様だっこっていうのは憧れなの!それを……あんな形で……。 あんたはね、あたしのお姫様だっこバージンを奪ったの!わかる?!」 「ちょ!まて!その言い方は誤解を招くだろ!」 「……と、とにかく!あたしはちゃんとしたお姫様だっこを経験したいの!あんたには一度されちゃったワケだし? 一度も二度も同じだから、今度はちゃんとしたお姫様だっこしなさいよね!」 道理が通っているのかいないのかサッパリだが、俺と桐乃は兄妹だ。お姫様だっこなんて普通ありえねーし。 「出来るわけねーだろ!」 「なにあんた、シスコンのくせに妹の言うことが聞けないっての?あ……そっか。 あんたに頼みごとするときは可愛く言ったほうがいいんだっけ? しょうがないな~。じゃ期待に応えてあげるからちょっとこっち来て。」 こいつ、「妹」ってだけで何でも俺が言うことを聞くとでも思ってるのか? 「可愛く」?また、あのエロゲーを買いに行かせたときみたいに「お願~い」をやるつもりだな?もうあの技は通用しないぜ? ……まぁ確かに可愛かったのは間違いない。お姫様だっこをするつもりは毛頭ないが、「お願~い」のあの桐乃はもう一度見たいな。 しょうがねぇ。言われた通りそっちに行ってやんよ。 「……じゃあここ、座って。」 桐乃は持っていた雑誌をテーブルの上に置き、ソファーの左側に寄る。右側にスペースを作り、ポンポンとそこを叩いた。 さっきは桐乃を見ないようにしていたため気付かなかったのだが、よく見ると、とんでもない格好をしてやがるなこいつ……。 上は真っ白で無地のシンプルなキャミソール、下はデニムのホットパンツときたもんだ。 髪は夏らしく後ろで一つに縛っている。いわゆるポニーテールってヤツだ。 肩と背中の露出度が高いせいか、うなじが妙に色っぽい。 程よい太さでスラリと長く伸びた張りのある太ももは、透明感があり、スベスベしていそうで思わず触りたくなってくる。 上着がシンプルゆえに強調されてしまう胸元も、身体全体のラインとのバランスが取れていてとても良い感じだ。 こういう服装を着こなしてしまうあたり、さすが読者モデルといったところか。 俺の身近で、この格好が似合う奴ランキングをつけるとすれば、おそらく桐乃が一番だろう。 麻奈実や黒猫は論外、あやせは……いい線いくだろうが、桐乃の比ではないな。 ……ん?まてよ……。沙織なら……あるいは……。 「……ちょっとあんた……。なんかエロい事考えてない?」 「べ、別に考えてねーよ!」 どうして女ってのは、こうも鋭いのかねぇ……。 「だったら早く座んなさいよ。ほら!」 「……ほらってなぁ……。そんな格好をしているおまえの横に座れるわけねーだろ! いくら家の中だからってそんな露出度の高い服―――。」 「やっぱエロい事考えてんじゃん。スケベ!変態!! ケド、あんたシスコンだし?それも仕方ないか。とにかく早く座ってよ。 せっかく可愛く頼み事してあげるって言ってんだしさ。聞いてくれたら特別サービスで あんたの大好きな『ありがとね、兄貴』をやってあげてもいいよ?」 ……ほう、そいつは魅力的だな……。って!なに考えてんだ俺は!? だが、これ以上のやり取りは不毛だな。とりあえず座ってやるか……。別に『ありがとね、兄貴』をやって欲しいわけじゃねぇよ? 「しゃーねーな……。ほらよ。」 俺は桐乃の隣に浅く腰掛ける。 「……………………。」 「……………………。」 ……あれ?どうしたんだ桐乃は?何も言ってこねえな……。 と思っていたら、突然斜め後方から両手を俺の左肩の上に乗せ、身体を伸ばし顔を俺の耳に近付け囁いた。 「…………だっこ……………………して?」 振り返ると一瞬俺と目が合ったが、照れくさそうに下を向く。 ……なんだこの可愛い生き物は?こんなの俺の妹じゃねぇ。妹じゃないと分かれば、お姫様だっこの一つや二つ朝飯前だぜ。 「よし。わかった。」 俺は立ち上がり、桐乃の方へ向き直る。 「じゃあいくぞ。」 「…………うん。」 桐乃は身体を横向きにして、やや仰向けに寝そべる様に俺を待つ。 俺は少し屈み、桐乃の背中に左腕を、膝の裏に右手を入れて持ち上げた。 ……以外と軽いな……。 この間は桐乃が暴れたため、もっと重く感じたんだがな。それもすぐに下ろしてしまったし。 今日は素直に持ち上げられようと大人しくしてくれているので力が入れやすいといったところか。 などと冷静に分析をしていたのも束の間、俺は激しい後悔の念にかられていた。 ……こ…これは……。思っていた以上に恥ずかしいぞ……。 と、とにかく顔が近い。しっかりと目を開けてる桐乃の顔をこんなに至近距離で見るのは初めてだ。 薄く施された化粧にあどけなさを感じさせる。 整った顔してるな……。少し恥ずかしそうに俺の目を見つめている。 ……めちゃくちゃ可愛いじゃねえか。くそっ! 桐乃と目を合わせるのに耐えられなくなった俺は、視線を少し下に逸らしたのだが―――。 ……ここの描写は割愛させていただく。俺も一瞬しか見てないしな! だが、我が妹様はその一瞬を見逃さなかった。 「ちょ!あんたどこ見てんの!?エッチ!!それにそのやらしい手つき、どうにかなんないワケ!?」 「しょうがねーだろ!不可抗力だ!」 右腕は太ももとふくらはぎに挟まれているものの、右手で太ももを掴まなければ支える事ができない。 左手も同様に桐乃の右の二の腕を掴んでいる。 なんで今日に限ってその服装なんだよ!そんな格好でお姫様だっこしたら地肌に触れるしかないだろ! 俺はいたたまれなくなって、 「……もういいだろ?下ろすぞ……。」 と任務を終了しようとしたのだが……、 「ま、まって!せっかくだからさ、あたしの部屋まで連れてってよ。」 「……まだ続くんすか?これ。」 「あったりまえじゃん。この前あたしを辱めた責任とってもらうんだから。」 こいつ、俺を下僕のように扱って優越感に浸ろうって腹だな? さっきの恥ずかしそうな目つきも、俺をからかおうとしてたに違いない。 だが、確かにあの時悪かったのは俺だから、素直に従うしかないか……。 そうと決まれば、さっさと終わらせてしまおう。 「部屋までだからな!」 と、小走りでリビングを出ようとした瞬間、入り口のところでつまづいてしまった。 危うく桐乃を投げ出しそうになったが、桐乃が俺の首に両腕を巻き付けてしがみついてくれたおかげでなんとか事なきを得た。 …………事なきを得た……?いや……むしろ状況は悪化した。 桐乃は俺に抱きつく形になって顔を俺の胸にうずめている。 「だ、大丈夫か?」 「……………………。」 「一旦下ろすぞ。」 「大丈夫!…………だから……。」 桐乃は俺にしがみついたまま答える。 「いや……でも……この体勢は……。」 「うっさい!大丈夫っつってんの!早くあたしの部屋に連れてけ!」 こいつ必死に怒りを堪えてるんだな……。自分で言い出した手前、引くに引けなくなって……。本当に頑固なヤツだぜ。 だが実は俺、今桐乃に顔を上げられなくて良かったと思っている。だって今の俺の顔、多分真っ赤だ。 こんな顔見られたらまた「なに欲情してんの?キモ。」とか言われるに決まってる。 しかし今の体勢はマジヤバい。桐乃の髪の毛が俺の顔に触れている。……なんかスゲーいい匂いするんですけど。 心臓がバクバクいってやがる……。このままでは俺の身が持たん。とっとと任務を終わらせてしまわねば。 さっきの事もあるし、階段を一段一段慎重に上る。しかし、ここに来て腕が痺れてきやがった。暑さのせいもあるだろう。 エアコンの効いていたリビングとは違い、階段は暑い。とにかく暑い。桐乃を掴む手も汗でヌルヌル滑り出す。 何度か桐乃を抱え直し、階段を上りきったころには、もう既に“お姫様だっこ”とはほど遠い体勢になっていた。 首に巻きつく腕はさらに深く、桐乃と俺の顔は擦れ合い、頬擦り状態になっている。 汗で滑る手は、いつしか滑らない場所を求めて……弾力のあるお尻を両手で抱えていた。 ……なんだこれ?天国か?地獄か?俺の脳みそは沸騰寸前である。 ……それにしても桐乃のヤツさっきから一言もしゃべらねーぞ?大丈夫か?まさか熱中症じゃないだろうな……。 って俺もヤバそうだ……。と、とにかく俺が倒れる前に部屋に連れてかねーと……。 フラフラになりながらも、桐乃の部屋の前まで辿り着いた。なんとかドアを開け、桐乃をベッドの上にそっと下ろす。 ……つもりだったのだが、桐乃にしがみつかれたままなので、俺も一緒にベッドの上に倒れ込む。 何なんだろうなこの状況……。あやせに見られたら確実に殺されるな……、俺。 つーかそれどころじゃねぇ!桐乃の安否の確認が優先だ! 「おい!桐乃!」 「……ふぇ?」 ようやく桐乃は俺の首に巻きつけている腕をほどいてくれた。 ヤベ……こいつ顔真っ赤じゃねーか。汗びっしょりだし……。 「大丈夫か?」 「……ん……大丈夫……。」 「おまえの部屋だぞ。わかるか?」 「……うん……。あ…ありがとね、兄貴。」 そう言い残すと、桐乃はゆっくりと目を閉じていった。 ヤベぇ!!マジで熱中症かもしんねぇ!! 俺は火照りきった脳みその中から、このあいだテレビでやっていた熱中症患者への応急処置の内容を搾り出す。 たしか衣服を緩めるってのがあったな。背後にまわる時間が惜しいので、 そのまま正面から背中に手を回し、ブラのホックを外す。あとは……ズボンのボタンだな!と下のボタンに手をかけたその時―――。 ビッターーーーーーン!!!! 「いってぇな!!なにすんだよ!!」 「それはこっちの台詞!!ちょっとあんた!!いったい何やってんの!!!!」 「え?いや、おまえが顔真っ赤にして、急に目を閉じたりするから―――」 「だからって、そこまでしていいって言ってない!そういうのは順番ってもんがあるでしょ!いきなりとかありえないから!!」 「俺の知ってる知識だと―――」 「うっさい!うっさい!うっさい!!とっとと出てけ!!この変態!!強姦魔!!!!」 ドコォォォオオオ!! バタン!! いててて……。くそぅ。なんなんだ一体……。でもまぁ、あの様子なら大丈夫だろ。何事もなくてよかったぜ。 それにしても喉がカラカラだ。あ…そういえば台所に麦茶置きっぱなしだったな。とりあえず、麦茶を飲みに行くか……。 そして俺は台所へ向かう。俺がしでかした事の重大さに気付くのは、ぬるくなった麦茶を飲み干した後だった。 ~終~ オリジナルサイズ